南北朝時代の琵琶法師・覚一(かくいち)が1371年に完成させたといわれる覚一本を、割愛することなく原文のまますべて収録しています。
巻第一 収録内容
仏教の無常観を記した有名な冒頭から始まる巻第一は、天承二年(1132年)の忠盛の昇殿から、安元三年(1177年)の大火による内裏の焼失までが描かれる。
桓武天皇の血筋である平氏は、忠盛のときに昇殿を許され、その子清盛は、保元・平治の乱の活躍で、絶大な権力を持った。平家一門はことごとく官位につき、栄華を極める。平家のふるまいは次第に目に余るようになるが、厳しい言論統制のもと、人々は口を閉ざす。清盛に翻弄された白拍子の女たちもいた。後白河院とその近臣たちは鹿の谷でひそかに平氏討伐の企てをするのだった。
01 祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)
02 殿上闇討(てんじょうのやみうち)
03 鱸(すずき)
04 禿髪(かぶろ)
05 吾身栄花(わがみのえいが)
06 祇王(ぎおう)
07 二代后(にだいのきさき)
08 額打論(がくうちろん)
09 清水寺炎上(きよみずでらえんしょう)
10 東宮立(とうぐうだち)
11 殿下乗合(てんがののりあい)
12 鹿谷(ししのたに)
13 俊寛沙汰 鵜川軍(しゅんかんのさた うがわいくさ)
14 願立(がんだて)
15 御輿振(みこしぶり)
16 内裏炎上(だいりえんしょう)